【書評】イクメンの罠|育児に悩むイクメンパパへ贈る子育てのヒント8選
育児に関して、こんな悩みを持つパパは多いのではないでしょうか。
・父親として、子どもとどのようにかかわったらいいのか分からない…
・自分としては育児に参加しているつもりなのに、妻からは物足りなさを指摘される…
今回は、榎本博明さんの「イクメンの罠」を紹介します。
イクメンブームや育休取得が義務化など、父親の積極的な育児参加が求められている中で、父親としてどのように子育てに関わっていけばよいのかについてのヒントが詰まった1冊です。
【目次】
- 1 イクメンブームや育休取得に関する4つの疑問
- 2 子育てにおける”父性原理”と”母性原理”
- 3 子どもが3歳になったら、イクメンに進化せよ!
- 4 子どもが3歳になったらこう導く!子育のヒント8選
- 5 まとめ
1 イクメンブームや育休取得に関する4つの疑問
本書のはじめには、イクメンブームの醸成や育休取得の義務化など、父親を取り巻く育児環境が変化している中で、父親への育児参加に関する4つの疑問が投げかけられています。
①イクメンになることを推奨しているのに、育児のヒントが提示されていない
国(厚生労働省)で育休取得を進めておきながら、育児に関するヒントがどこにも提示されていません。
「子どもは増やしてね。あとは自分で育ててね。」というのは、あまりにも無責任ではないでしょうか。
②育休を取得することができない職業があることが見過ごされている
育休が義務化になったとしても、自分の「持ち場」がある職業についている父親は、育休が取りたくても取れない状況にあることが見過ごされています。
このことを理解しておかないと、育休の「取得率」だけがひとり歩きしてしまう可能性があります。
③育児に参加できない父親がいることが見過ごされている
家庭の事情や、単身赴任などの仕事の事情により、育児に参加したくても物理的にできない父親がいることが見過ごされています。
厚労省のキャンペーンにおいて、「育児をしない父親は男ではない。」なんていうキャッチコピーは、まさにこうした事情を理解していないことを現しています。
④母親と同じ役割を担うことが推奨されている
「父親と母親が協力して、平等に家事をする」などといった方向に社会全体として向かわせることは、苦しい状況に追い込まれる家族もいることを忘れてはいけません。
こうした4つの状況から、父親が、子育てにうまく関わっていくことができずに自信をなくし、これまで以上に少子化が進んでしまうといったことがあるかもしれません。
2 子育てにおける”父性原理”と”母性原理”
続いて、子育てにおける”父性”と”母性”について説明されています。
この考え方を理解しておくことは、子育てをしていく中で非常に重要であるといえます。
①父性原理とは
”父性”とは、文化的・社会的な存在であり、社会性を身につけさせ、自立に向けて強い人間に育てていく存在のことを指します。
②母性原理とは
”母性”とは、我が子をあるがままに受け入れ、包み込む存在であり、
子どもを優しく保護し、傷を癒やし、気持ちを支える存在のことを指します。
「我が子を無条件に愛する」という母性と比べて、父性は子どもに課せられた課題や期待に応えると得られる「条件的な愛」ということが特徴です。
ここで、母親が母性機能担当、父親が父性機能担当と明確に分けるのではなく、家庭の事情や子どもの性格によって、うまく役割分担をしていくとよいとされています。
3 子どもが3歳になったら、イクメンに進化せよ!
子育てには、母性機能(やさしく包み込む機能)と父性機能(厳しく鍛え上げること)の両方が欠かせません。
最近は、「子どもに嫌われたくない」といって「厳しく鍛え上げること」ができない家庭が増えてしまっており、子どもが成長し社会性に出てから直面する課題や困難に立ち向かう力が養うことができていないのでは、と警鐘を鳴らしています。
このような事態に陥らないように、著者は、3歳までは母性中心のイクメンでもよいが、3歳を超えたら徐々に父性中心の父親になったほうがよいと提言しています。
なんでもわかってあげる、汲み取ってあげる存在から、時には「ダメなものはダメ」といった壁のような存在になる必要があるのです。
4 子どもが3歳になったらこう導く!子育のヒント8選
3歳になったら子どもに身につけさせたい生活習慣が、8つ紹介されています。
①挨拶をする・お礼を言う
②我慢をすること
③簡単にあきらめないこと・粘ること
④相手の気持ちを想像する力を身につけること
⑤いろんな友達と遊ぶこと
⑥結果を気にせず挑戦すること
⑦読書する習慣を身につけ、好奇心をもつこと
⑧親の働く姿をみせること・知ること
5 まとめ
育休取得の義務化など制度が整い、父親も積極的に育児に参加する時代となってきましたが、肝心の子どもや家族とのかかわり方が見過ごされているような気がします。
こうした状況の中で、急に育児に参加する父親が子育てに自信をなくしてしまっては本末転倒です。
父親向けの育児書が少ない中、本書は子どもや家族とのかかわり方や育児における役割分担の方法について、一つの指針を示してくれます。
育児に悩んでいるパパに役立つ一冊だと思いますので、ぜひご一読ください。